車をぶつけたときのへこみを直す板金塗装の流れについて

パーツ取り外し

たとえば、ドアパンチなどでドアにへこみができてしまって、ドアの修理をするとします。まずは、板金塗装をするために、作業のじゃまになるパーツを取り外していきます。ドアにはサイドミラーやドアハンドル、ガーニッシュなどがついていますので、こういった付属品を取り外します。また、フロントやリアの部分の修理であれば、バンパーを外すといった作業が必要になります。

こういった付属品を外さないと、最終的によい仕上がりにならないこともありますので、基本的には全てのパーツを取り外します。修理をできるだけ安くすませいたいという場合には、パーツを取り外さずに修理する方法もありますが、きれいに仕上がらないためあまりおすすめはできません。

塗装をはがす

板金は、塗装をはがした状態になっていないとできません。

板金には大きく分けて2つの方法があります。ひとつは裏から叩き出す方法で、もうひとつは表から鉄板を溶接して引っ張る方法です。特に引っ張り出す方法だと、塗装をはがして鉄板がむき出しの状態になっていないと溶接ができませんので、塗装をはがす必要があります。

裏からたたき出す方法の場合は、必ずしも塗装をはがす必要はありませんが、裏から叩いて板金をすると塗装が割れてしまいます。塗装が割れた状態では、後の工程で支障をきたすため、板金時に塗装をはがす必要がなくても、最終的には塗装をはがす必要があります。

板金

板金とは、車をぶつけたり擦ってしまったことによってできたへこみを、専門の工具を使って叩いたり引っ張りだしたりする作業です。鉄板がへこんでいるとき、その部分の鉄板は伸びてしまっています。ぶつかっていない部分と、ぶつかってへこんでしまっている部分の長さが違っているということです。これを元通りの状態にすることを板金といます。へこんでいる状態の鉄板を、引っ張りだしたり、叩き出したりしたうえで、元通りの形となるように長さを調整していきます。

次に、板金によって伸びてしまった鉄板を加熱して直していきます。この作業のことを「絞る」といいます。鉄板は伸び過ぎてしまうと、その部分がベコベコした状態になり、押すとへこんだまま元に戻らなくなるほどになってしまいますので、絞る作業を行うことで鉄板を縮める必要があります。板金では引っ張りだし、叩き出し、絞り、を繰り返し作業することで、強度を復元しながら鉄板を整えていきます。

パテ

へこみを板金だけで修理するのはとても難しく時間もかかるので、ある程度仕上げたらパテを盛って、ペーパーを使って成形していきます。板金の作業が終わった後は、パテを使って形を整えていきます。パテが多いときれいに仕上がりませんので、パテの量はなるべく少ない方がよいでしょう。パテをつけたあとは、時間をかけてパテを研いで調整していきます。パテを研ぐ作業では削って形を作っていきます。粗い研ぎ剤からはじめて細かい研ぎ剤まで、順番に使って形を整えていきます。

サフェーサー

次は塗装ですが、その前に表面にサフェーサーを塗ることで錆を防止します。また、細かな傷や成形するときに付いたペーパー目を埋めていきます。サフェーサーで消しきれなかった傷などは、サフェーサーが乾燥したあとにラッカーパテで埋めます。

塗装

塗装ではまずベースコート塗装を行います。塗装の際は、スプレーガンから噴霧された塗料が塗装する面以外につかないようにマスキングします。ベースコートでは、サフェーサーを染めて、元のボディの色になじむように数回に分けて塗装していきます。

ベースコートだけでは艶もなく、はがれやすくなってしまうので、そのうえからクリアを塗装します。クリアは厚みがあるため、時間をかけてしっかり乾燥させます。塗装してすぐに加熱しすぎると気泡ができてしまうので、センサーで塗面の温度を測りながら一定の温度を保って乾燥させていきます。

塗装の際に細心の注意をしていても、小さなホコリやゴミが付いてしまうのは避けられません。塗膜が完全に硬化したら、つづいて目の細かいペーパーを使い取りのぞき、荒目~超微粒子のコンパウンドとポリッシャーを使って整えながら磨いていきます。磨きが終わったら外したパーツを組み上げて車をきれいにして完成です。

まとめ